「アニメーション作家ってどんな仕事をしているのか気になる」
「将来はアニメーション作家になって活躍したい」
という方もいるでしょう。
この記事では、アニメーション作家になるにはどうしたらいいのか、またアニメーターとの違いについても解説します。
「アニメーション作家に興味がある」「世界中から絶賛されるアニメ作品を自分の手で作りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
アニメーション作家とは?
「アニメーション作家」とはアニメーションの考察から制作、完成まで一手に引き受ける仕事です。
アニメのクレジットの「原作・脚本・監督」に書かれている人がアニメーション作家である場合が多いです。
アニメーション作家は自身のアイデアをシナリオに起こし、ディレクターや監督と連携してアニメ作品を仕上げていきます。ショートアニメのように比較的、短時間のアニメであればアニメーション作家が1人ですべて対応して1つの作品を完成させることもあります。
アニメーション作家として活動するには、アニメーション制作会社に就職してアニメーターやアシスタントとして経験を積み、ステップアップしていくのが一般的です。
企業に勤めている方もいれば、フリーランスとして活躍する人もいて、柔軟な働き方を実現できる仕事です。
アニメーション作家とアニメーターの違い
アニメーション作家は作品作り全般に携わります。
一方で、アニメーターはアニメーション作家が考案し作成した作品の絵コンテをもとに、アニメ作品の作画を専門的に行う仕事です。
アニメ制作に携わっている人たちを「アニメーター」と総称する人もいますが、本来のアニメーターは主に「作画」を担当する仕事を指すため、職種としては異なります。
アニメーション作家の仕事内容
アニメーション作家はシナリオつくりから監督まで幅広く業務を担っているため対応する業務も多岐にわたります。
- 絵コンテの作成
- 関係者との打ち合わせ
順に解説します。
絵コンテの作成
アニメーション作家が作品を作りはじめるときは、まず絵コンテを作成します。
絵コンテとはいわば「アニメ作品の設計図」でキャラクターの動きやセリフ、背景、効果音などの指示を記載したものです。
絵コンテの作成は非常に労力のいる作業ですが、最近はデジタル化が進んでいることから作業の効率化も進んでいます。
チームで作品を制作する場合は絵コンテがないと作業ができなかったり、認識の齟齬が生まれたりするため、絵コンテ作成は重要な仕事です。
アニメの絵コンテについては、「アニメの絵コンテの書き方!覚えておきたいポイントや注意点を紹介!」で詳しく解説しています。
関係者との打ち合わせ
アニメ制作はチームで作業することがほとんどなので、アニメーション作家の発想を形にするためには、関係者へプレゼンするなどの打ち合わせが必要になります。
そのため、アニメーション作家にはアニメ制作の知識や絵コンテの作成力だけでなく、それを伝えるトーク術やコミュニケーション能力も必要になります。
この他にもレイアウトチェックやアフレコに立ち会う場合もあります。
アニメーション作家に必要なスキル
アニメーション作家となって活躍するために必要なスキルは、次の3つです。
- アニメ制作に関する知識
- 想像力
- 画力
では順番に見ていきましょう。
アニメ制作に関する知識
アニメーション作家はアニメ制作全般に対する知識がないと、イメージを伝えたり指示を出したりするのが難しいです。
たとえば、絵コンテはイメージがスタッフ全員にしっかり伝わるように描く必要があります。それに加えて、視聴者を楽しませるようなシナリオの作り方も求められます。
また、映像制作についても精通していなければいけません。上でもお伝えした通り、アニメのデジタル化によってCGを扱う場面も増えているので、CGの知識や技術も必要です。
アニメーション作家は、アニメ制作に関する幅広い知識が要求されると覚えておきましょう。
想像力
アニメーション作家は自身が考案した作品を形にして発信する仕事です。「作家」としての想像力や発想力がないと、そもそも作品を作り上げることができません。
視聴者を惹きつけるアイデアは作家の想像力から生み出されるものです。
たくさんの作品に触れたり、本を読んだりして想像力を養っておきましょう。
画力
アニメーション作家にも画力は必要です。
なぜなら絵コンテで自身の発想を表現し、正しく伝えるには基礎的な画力やデッサン力が必要だからです。
一流のアニメーターほどの画力は必要ありませんが、自身が持つイメージをしっかり表現できる程度の画力は磨いておきましょう。
アニメーション作家に必要な資格は?
アニメーション作家に必要な資格というのはありません。
しかしアニメーションのデジタル化によって、CGを使用することも多くなっています。そのため、デジタルでのアニメ制作に役立つ資格を取得しておくと就職に有利です。
資格の一例は、次の通りです。
デジタルアニメ制作に役立つ資格 | |||
---|---|---|---|
資格名 | 資格概要 | 受験料 | 試験方法 |
画像処理エンジニア検定 | 画像処理に関する知識を測定 | ベーシック:
5,600円 エキスパート:6,700円 |
マークシート方式
ベーシック・エキスパートともに100点中70点以上で合格 |
CGクリエイター検定 | CG理論やCGソフトの操作能力を測定 | ベーシック:
5,600円 |
マークシート方式
ベーシック・エキスパートともに100点中70点以上で合格 |
色彩検定 | 色彩心理や配色など「色」に関する知識を測定 | 3級:7,000円 2級:10,000円 1級:15,000円 UC級:6,000円 |
マークシート方式(2球以上は一部記述) 70%前後の正解で合格 |
アニメーション実技試験 | 課題から実際にアニメを制作する実践力を測定 | 6,700円 | 課題からアニメを制作。全国の受験定員300人の中での順位を発表 |
また資格の取得だけでなく、事前にアニメ制作についての基礎幅広い知識や制作技術を身につけておくことをおすすめします。
アニメーション作家に向いている人
アニメーションを作り上げるアニメーション作家は、どんな人が向いていると言えるのでしょうか。
特徴として次の3つがあります。
- 人を惹きつける発想力がある人
- 忍耐力や集中力がある人
- コミュニケーション能力やリーダーシップがある人
前述の通り、アニメーション作家は人を惹きつけるアイデアや豊かな発想力が求められます。
1つの作品を完成させるためにコツコツと細かい作業を続けていくことも多いので、忍耐力や集中力も必要です。
また制作スタッフやクライアントなど、多くの人とコミュニケーションを取れたり、作業の指示を出したりするリーダーシップも必要です。
アニメーション作家になるには?
アニメーション作家は大学や専門学校を卒業して、アニメーション制作の会社に就職するのが一般的な流れです。。
実力あるアニメーション作家になるためにも、まずは専門学校や大学で知識やスキルを磨くことをおすすめします。
方法としては次の3つがあります。
- 専門学校で知識とスキルを身につける
- 大学で学ぶ
- アニメーション制作会社へ就職する
それぞれ解説します。
専門学校で知識とスキルを身につける
専門学校であればデジタルアニメ制作のノウハウやCG制作の知識を学べます。
大学と比べて実技が多いカリキュラムになっているため、スキルや経験を積みやすいという特徴もあります。
そのため「アニメーション作家になりたい、アニメ制作がしたい」と考えているのであれば、専門学校がおすすめです。
東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の「デジタルアニメ制作&テクノロジー専攻」では、キャラクターデザイン・映像制作・3DCG制作などアニメの制作に必要な知識や技術を学べます。
アニメ制作のプロに指導してもらいながら実際にアニメを制作したり、企業の現場で実践経験を積んだりできます。
大学で学ぶ
美術系の大学の映像学科やデザイン学科、造形学科などで学び、アニメーターを目指す方法もあります。
大学でも映像の基本技術や演出論などを学べますが、大学は一般教養もカリキュラムに含まれているため、専門学校に比べるとどうしても実技が少なくなります。
アニメ制作は、実際に制作に使うソフトの使用経験がないと活躍することが難しいです。
アニメーション制作会社へ就職する
アニメーション制作会社へ就職し、アニメーターからアニメーション作家にキャリアアップする方法もあります。
ただし、アニメ制作会社の求人倍率は非常に高く、未経験者が入社することは非常に困難です。
未経験者を育成するようなシステムがある制作会社も少なく、入社できてもすぐにアニメーション作家として業務を任せてもらえるかはわかりません。
アニメーション作家の給料・年収
アニメーション作家の年収における統計データは公表されていません。
しかし、「大手転職サイトマイナビAGENT」によるとグラフィックデザイナー・イラストレーターの平均年収は約345万円と報告されています。
これらの職業はアニメーション作家と類似する職業であるため、年収も同程度と考えられるでしょう。
さらに、アニメーション作家は独立することもできる職業なので、個人の実績とスキルが上がっていけば年収は増加していく可能性があります。
人気アニメで監督を務めるようになれば、年収1,000万円を超える可能性も十分にあるでしょう。
アニメーション作家のやりがい
アニメーション作家のやりがいは、自分の想像するアニメを作れることです。自分のイメージを形にできるため、実際に作品が完成した時には大きなやりがいを味わえます。
ジブリ作品で有名な宮崎駿さんは、体力の衰えを感じ引退を宣言するも何度もそれを撤回したことでも知られていますが、引退撤回の理由は「(映画制作を)やりたかったから」と答えています。
(参考:宮崎駿監督、引退宣言撤回! スタジオジブリの最新作を手がけていることを告白 カムバックした理由についても語る – tvgroove)
アニメーション作家は、それほどまでやりがいがある仕事なのだとも捉えられます。
アニメーション作家の将来性
アニメーション作家の将来性は、どうなのでしょうか?
一般社団法人日本動画協会が発表した「アニメ産業レポート2021」によると、2020年のアニメ産業の市場規模は国内外あわせて2兆4,261億円と報告されています。新型コロナウイルスの影響もあり、11年ぶりに前年比よりも減少となりました。
とはいえ、アニメ市場は2019年までは10年連続で成長しています。
2020年は海外市場が1兆2,394億円、国内市場が1兆1,867億円となり、海外市場は国内市場よりも大きくなったことも踏まえると、アニメーション作家は世界的に見ても需要がある仕事だといえるでしょう。
第74回カンヌ国際映画祭でも、アニメーション作家の細田守さんの『竜とそばかすの姫』がオフィシャル・セレクの「ションカンヌ・プルミエール」部門に選出されました。日本のアニメーション技術は世界中でも評価されています。このことからも日本のアニメーション作家は海外でも需要があり、ひゅかされていることがわかります。
これらを踏まえると、アニメーション作家は国内外問わず将来性のある仕事といえるでしょう。
著名な日本人のアニメーション作家5選
海外でも知られる日本の著名なアニメーション作家をご紹介します。次の5人です。
- 高畑勲
- 宮崎駿
- 新海誠
- 細田守
- 庵野秀明
順に解説します。
高畑勲
高畑勲さんは、1959年に東映動画に入社し、宮崎駿さんとともにスタジオジブリを設立しました。
監督として作品を手掛け、ヒット作品も多くあります。
代表作は『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』などで、『平成狸合戦ぽんぽこ』は、1994年に公開された邦画の中で興行収入1位を記録しました。
宮崎駿
日本人で知らない人はいないと言っても過言ではない宮崎駿さんは、東映時代の高畑勲さんの後輩にあたります。
語り尽くせないほどのヒット作を生み出していますが、中でも『千と千尋の神隠し』は、約20年に渡り日本歴代興行収入1位を堅持し続けました。
80歳を超えてなお創作意欲が衰えず、いまだ次回作を制作中とされています。
新海誠
『君の名は。』『天気の子』の大ヒットで一躍時の人になった新海誠さんは、2002年劇場アニメ『ほしのこえ』で監督デビューしています。
『ほしのこえ』は監督・脚本のほか、演出・作画・美術・編集などの制作業務のほとんどを、新海誠さん1人で手掛けるという鮮烈なデビュー作品でした。
他にも『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』など、アニメファンから高い評価を受けている作品がたくさんあります。
細田守
細田守さんは監督作品が日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を5回受賞する名作家です。
2005年から2011年にフリーで活動していた時期があり、『時をかける少女』『サマーウォーズ』を手がけています。
2011年4月にスタジオ地図を設立し、『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』など、多くのヒット作品を世に送り出しました。
前述した通り、2021年7月にカンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクションに日本映画として唯一選出された『竜とそばかすの姫』も細田守さんが監督の作品です。
庵野秀明
庵野秀明は『エヴァンゲリオンシリーズ』の監督です。
実は『風の谷のナウシカ』『火垂るの墓』などのスタジオジブリの作品にも関わっており、宮崎駿監督作品の『風立ちぬ』では、アニメ作家でありながら主演声優を務めたことでも話題になりました。
代表作でもある『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は興行収入が102億円を超え、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞など、多くのアニメ賞を受賞しました。
アニメーション作家になるために専門学校で学ぼう
アニメーション作家になるには専門学校や大学を経て、アニメ制作会社にアニメーターとして入社し、アニメーション作家としてステップアップするのが一般的です。
就職前にアニメ制作の知識や技術を身につけ、アニメ制作の実践経験を積むためには専門学校がおすすめです。
東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の「デジタルアニメ制作&テクノロジー専攻」では、4年制でデジタルアニメ制作のノウハウやCG制作の技術をしっかり学べます。さらに、産学連携プロジェクトにより、在学中から実際の現場で学べます。アニメーションルームなどのプロ仕様の最新設備もそろっています。
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